2026年11月05日
会社員やパート・アルバイトとして働いている人にとって、毎年11月から12月頃に行われる「年末調整」。会社から書類の提出を求められるものの、何のために行うのか、どのような書類が必要なのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
年末調整は、1年間に給与から天引きされた所得税と、本来納めるべき所得税額との差額を精算するための重要な手続きです。
この記事では、年末調整の基本的な仕組みから、必要書類、控除の種類、手続きの流れ、注意点まで詳しく解説します。
1.年末調整とは?
年末調整とは、会社が従業員に支払った1年間の給与や賞与を基に、その年に納めるべき所得税額を計算し、毎月の給与から源泉徴収されている所得税との差額を調整する手続きです。
通常、会社員は毎月の給与から所得税が天引きされています。しかし、毎月天引きされる税金は概算であり、必ずしも年間の正確な税額とは一致しません。
そのため、年末に年間の給与総額や各種所得控除などを考慮して、正しい所得税額を計算します。
– 源泉徴収された税額が多い場合:差額が還付される
– 源泉徴収された税額が少ない場合:不足分が追加徴収される
つまり、年末調整は税金の払い過ぎや不足を精算するための制度です。
2.年末調整の対象になる人
原則として、会社に勤務して給与を受け取っている人のうち、一定の条件を満たす人が年末調整の対象になります。
主な対象者は次のとおりです。
– 会社に1年を通じて勤務している人
– 年の途中で就職し、年末まで勤務している人
– 一定の条件を満たして年の途中で退職した人
一方、次のような場合には年末調整の対象外となることがあります。
– その年の給与収入が2,000万円を超える人
– 災害減免法によって所得税の徴収猶予や還付を受けた人
– 2か所以上から給与を受け取り、一定の条件に該当する人
なお、年末調整の対象外となった場合でも、確定申告によって税金の精算が必要になることがあります。
3.年末調整で必要になる主な書類
年末調整では、各種控除を受けるために必要な書類を会社へ提出します。
代表的な書類は以下のとおりです。
書類名 主な目的
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養親族などの確認
給与所得者の基礎控除申告書 基礎控除の確認
給与所得者の配偶者控除等申告書 配偶者控除・配偶者特別控除の確認
所得金額調整控除申告書 所得金額調整控除の確認
保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料などの控除
住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除の確認
※書類の様式や提出方法は年度によって変更されることがあります。また、住宅ローン控除は原則として初年度に確定申告が必要です。
4.年末調整で受けられる主な所得控除
年末調整では、一定の条件を満たすことで所得控除を受けられます。
所得控除とは、所得税を計算する際に、一定の金額を所得から差し引く制度です。
① 基礎控除
基礎控除は、一定の所得要件を満たす人が原則として受けられる控除です。
2025年分(令和7年分)以降は、合計所得金額に応じて控除額が変わる仕組みになっています。
② 配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者の所得が一定の条件を満たしている場合に受けられる控除です。
配偶者控除は配偶者の所得が一定以下の場合に適用され、配偶者特別控除はその所得が一定範囲内にある場合に適用されます。
③ 扶養控除
扶養している親族がいる場合に受けられる控除です。
対象となる親族の年齢や所得など、法律で定められた条件を満たす必要があります。
④ 生命保険料控除
生命保険や介護医療保険、個人年金保険などの保険料を支払っている場合に受けられる控除です。
保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書などを利用して申告します。
⑤ 地震保険料控除
地震保険の保険料を支払っている場合に受けられる控除です。
対象となる保険契約や控除額には一定の条件があります。
⑥ 社会保険料控除
自分や生計を一にする親族の社会保険料を支払った場合に受けられる控除です。
国民年金保険料や国民健康保険料など、一定の社会保険料が対象になります。
⑦ 住宅ローン控除
住宅ローンを利用して住宅を購入・新築・増改築した場合に、一定の要件を満たすことで受けられる税額控除です。
住宅ローン控除は所得控除とは異なり、計算された所得税額から直接差し引かれます。
初年度は原則として確定申告が必要ですが、2年目以降は一定の条件の下で年末調整によって手続きできます。
5.年末調整の手続きの流れ
年末調整は、一般的に次のような流れで進められます。
1. 会社から必要書類が配布される
11月頃を中心に、会社から年末調整に必要な書類や入力案内が配布されます。
2. 従業員が必要事項を記入する
扶養親族、配偶者、生命保険料、住宅ローンなどの情報を記入します。
3. 必要書類を会社へ提出する
控除証明書など、必要な添付書類も提出します。
4. 会社が所得税額を計算する
年間の給与総額や各種控除を基に、本来納めるべき所得税額を算出します。
5. 過不足額を精算する
12月または翌年の給与などで、還付または追加徴収が行われます。
6.年末調整で注意したいポイント
年末調整を正しく行うためには、いくつか注意すべき点があります。
① 扶養親族の情報を正確に申告する
扶養親族の所得や年齢などによって、適用される控除が異なります。申告内容に誤りがあると、税額の計算に影響する可能性があります。
② 保険料控除証明書を紛失しない
生命保険料控除や地震保険料控除を受ける場合には、証明書などが必要になります。紛失した場合は、保険会社に再発行を依頼しましょう。
③ 年の途中で転職した場合は源泉徴収票を提出する
年の途中で転職した場合、前職の給与を含めて年末調整を行うため、原則として前職の源泉徴収票を転職先に提出する必要があります。
④ 医療費控除などは原則として確定申告が必要
医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を利用しない場合など)、雑損控除などは、原則として年末調整では手続きできません。
これらの控除を受けたい場合は、確定申告を検討しましょう。
7.年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告は、どちらも所得税を精算するための手続きですが、手続きする人や方法が異なります。
比較項目 年末調整 確定申告
手続きする人 原則として勤務先 原則として本人
対象者 年末調整の対象となる給与所得者 申告義務のある人・還付申告をする人など
手続き時期 原則として年末 原則として翌年2月16日~3月15日
主な内容 給与に関する所得税の精算 1年間の所得と税額の申告・精算
医療費控除 原則対象外 対象
年末調整を受けている会社員であっても、副業による所得や医療費控除などの事情によっては確定申告が必要になる場合があります。
8.年末調整で税金が戻ってくるのはなぜ?
年末調整で税金が戻ってくる理由は、毎月の給与から天引きされている所得税が概算で計算されているためです。
例えば、毎月の給与から源泉徴収された所得税の合計が年間15万円であったとします。
年末調整によって計算した本来の所得税額が12万円だった場合、差額の3万円が還付されます。
年末調整の還付例
年間の源泉徴収税額
150,000円
本来納めるべき所得税額
120,000円
還付される金額
30,000円
※仕組みを説明するための仮定の金額です。実際の還付額は個人の所得や控除によって異なります。
ただし、年末調整をすれば必ず税金が戻ってくるわけではありません。毎月の源泉徴収額が不足していた場合には、追加徴収されることもあります。
9.まとめ
年末調整は、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者にとって、1年間の所得税を正しく精算するための大切な手続きです。
特に、扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、社会保険料控除などを正しく申告することで、所得税の負担を適切に調整できます。
必要書類の提出漏れや申告内容の間違いがあると、本来受けられる控除が適用されない可能性もあります。
そのため、会社から年末調整の案内が届いたら、必要書類を早めに確認し、正確に記入・提出することが重要です。
年末調整の仕組みを理解して、払い過ぎた税金の還付や不足額の精算に適切に対応しましょう。
カテゴリ:お役立ち情報

